2020-04-14から1日間の記事一覧

師範学校豫科生の思い出 その4

もう六月だというのに、その寒さは一体どうした事か。 朝の雑巾がけで、あの「シンパレ」(霜焼け)が顔を出し、 今まで足の指だけだったのに、両手の指まであがり、 寮友の誰もがそんな事はないのにどうしてだろう。 薬も包帯も無く、赤く腫れ上がり、痒く…

師範学校豫科生の思い出 その3

寂しい寮の食事 昭和二十二年は、冷害の酷い年であった。 学校から渡り廊下を通って寮に帰っても、 シーンとした、火の気のない部屋で丹前(ドテラと呼んでいた) にくるまって震えていた。 朝、六時には、「起床ッ!」と大声で怒鳴る先輩の号令で 「ガバッ…